里地里山の保全

最終更新日 2023年11月27日

情報発信元 農政課

生きものあふれる田んぼづくりにご協力願います!!

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田んぼでできる自然再生のススメ

越前市では、農村に多くの生き物を取り戻し、豊かな自然の恵みを次の世代につなげていくため、田んぼの自然再生事業を推進しています。今回は、効果を検証してきた田んぼでできる自然再生についてご紹介します。豊かな本市の自然環境を守り、安全・安心な農産物をブランド化することで、未来の世代に豊かな故郷を残すため、是非ご協力ください。

取り組み事例

1 中干し延期 (なかぼしえんき)

内容

中干しをオタマジャクシやトンボのヤゴが上陸する7月上旬から中旬まで延期することで、カメムシなどの害虫を食べる、カエルやトンボをはじめとした肉食性の動物を増やします。

効果

中干し延期を行う田んぼでは7月上旬で23種類と多くの生物が確認されました。一方、慣行田では3種類しか確認できませんでした(図1)。

方法

通常6月末までに行う中干しの落水を7月10日から15日程度まで延期します。

・ 越前市では県特別栽培米を生産するほ場に対して、中干し延期を実施する場合、補助制度を設けています(平成27年度は募集終了)。

中干し延期
中干し延期を実施する圃場
図1
図1 中干し延期と慣行水田における生物種数の比較

2 退避溝(たいひみぞ)

内容

田んぼの一部を溝状に掘り下げることで、水生生物が中干しなどの渇水時に退避します。 滲み出し水を排水するための「江」と呼ばれる溝や用水を温めるため設置されている「ヌルメ」と呼ばれる小水路も同様な機能を持ちます。

効果

調査の結果、退避溝からは田面に比べ多くの生きものが確認されました(図2)。退避溝は水田の一部に常に水のある場所ができるため、ドジョウ、メダカやフナなどの魚が田んぼに棲めるようになります。 また、水田退避溝は冬場にも雪が積もりにくいことから、水生生物の越冬の場所となり、生きものを増やすことに効果が期待できます。 

方法

田んぼの一部を溝状に掘り下げます。手掘りでも造成できますが、重機を使うとより効果的です。 また、すでに排水用の溝や迂回水路が設置されている田んぼでは、この溝をさらに深く掘り下げることでも同様の効果を得られます。

退避溝
水田に退避溝を設置した例
図2

図2 退避溝と田面の1平方メートルあたりの生きものの個体数(6月)

3 水田魚道(すいでんぎょどう)

内容

水路と田んぼの段差に魚道を設置することにより、生き物が田んぼと水路を行き来できるようにします。

効果

田んぼは水温が高く、プランクトンが豊富なため、魚が産卵し稚魚を育てるのに適した環境です。水田魚道を設置すると、水路と田んぼの段差が解消されメダカ、ドジョウ、フナ、ナマズなどの川魚が田んぼに入り、産卵できるようになります。田んぼで育った稚魚は、中干しなどの落水期に水路や河川に流れ出ます。水田魚道を設置することで、河川や水路に魚を増やすことができます。また、退避溝を組み合わせることで、一年中魚の生息する田んぼをつくることができます。

方法

畦と水路の間に魚道を設置する。様々なタイプがあるので専門家や業者と相談しながら設置を行う。水路管理者と連絡を取り、魚道設置の合意を得ることが必要。

水田魚道
水田魚道の設置例
ドジョウ
水田魚道をそ上したドジョウ

 

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情報発信元 環境農林部 農政課

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