最終更新日 2023年11月27日
休耕田ビオトープ
PAGE-ID:4089
越前市ではコウノトリの定着に向け、休耕田ビオトープをづくりを行っています。
越前市では休耕田に生き物を増やす取組みとして、様々な調査活動が行われています。その活動の一部をご紹介します。
1 コウノトリの餌場環境創出を目指した休耕田ビオトープ
調査用の休耕田ビオトープは、コウノトリの飼育施設の隣に整備されました。
水深を30センチメートルから50センチメートルにするため田面を深堀して畦を高くして補強します。
完熟牛糞堆肥を投入してまんべんなくすきこみ、水を張ると2週間後にはたくさんのプランクトンが発生します。
ここにドジョウやギンブナを増やすことで、コウノトリの餌場となるようにしています。
餌場池
完熟牛糞堆肥
発生したプランクトン
2 ドジョウ
ドジョウはコウノトリの餌動物として知られています。
越前市では休耕田ビオトープをコウノトリの餌場とするため、ドジョウを増やす取り組みをしています。
平成24年から越前市内のドジョウの生息状況の調査を行い、生息環境の把握を進めました。
その結果、ドジョウが多く生息する環境は、泥が堆積した水路や、ため池であることがわかりました。
また、外来ドジョウの侵入やドジョウの遺伝的多様性の保全を考慮し、大学と連携して市内に生息するドジョウの遺伝子解析を行い、その結果をもとに、適正な親魚の採集場所を特定しています。
ドジョウの親魚は、ペットボトルと洗濯ネットで作製したトラップで捕獲をします。
このなかに、魚のあらを投入し1日ほど水路に沈めトラップを引き上げると餌に引き寄せられたドジョウなどが採れます。
捕獲してきた親ドジョウはコウノトリの餌場となる水田や整備した休耕田ビオトープに放流します。
ドジョウ捕獲用のトラップ
トラップの中のたくさんのドジョウ
たくさんのドジョウが生息する水路
3 ギンブナ
ギンブナは4月上旬から産卵期に入り産卵します。
ギンブナを休耕田ビオトープで効率的に増やすためには、4月上旬から水路や溜池にて親魚の捕獲をはじめ、お腹が大きく卵をかかえている個体を選びビオトープにします。
ギンブナは産卵時、水草に卵を付着させ繁殖するので、産卵用のシュロと伐採された樹木を沈めて、産卵床をつくります。
5月に入ると産卵が確認できます。
産卵の確認されたシュロや樹木は、ふ化した稚魚が親魚に食べられてしまうのを防ぐため、卵のふ化と稚魚育成のための小さな池を造成します。
大きく成長したら網を取り外し成魚と一緒にします。
このような方法でギンブナを増やすと20アールから30アールの休耕田ビオトープで、親魚約500匹から始めて数千匹に増やすことができます。
ギンブナ
孵化した稚魚
産卵場所と稚魚の育成場
4 ビオトープへのナマズの遡上
5月中旬の大雨の日には河川から水田へ水があふれ、ナマズが遡上してくることもあります。50センチメートル近くの大物が遡上することもあります。
ナマズも産卵するために河川から水田へやってきます。
ナマズの生息している河川や水路と休耕田ビオトープを水田魚道でつなげ、ビオトープ内でナマズを産卵させることができます。
ナマズ正面からみるとこんな顔しています。
50センチメートル越えの大物もいました。